「私たちは、先祖が紡いだ歴史を、さらに後世に繋いでいくことを任されているにすぎません。つまり私たちの役割とは、出来る限りの好条件のもと、授けられた力を以て、永続性を保証することです。」
ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは1982年にボルドーで生まれ、サン=テミリオンで育ちました。
ボルドー大学経済学部及び、グランゼコールのESCP-EAPを卒業後、2009年までロンドンのUBS銀行でプライベートバンキングのキャリアを積み、次いでスイスの名門銀行ピクテに移り、ここでもプライベートバンキング部門での仕事を継続します。
2009年になると、ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、アンジェリュスの監査重役会のメンバーとなり、その資格でシャトーの経営に直接関わるようになります。
2011年、ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、ロンドンの世界最大のワイン教育機関であるWSETの国際的な上級資格「Advanced Certificate」を取得します。
2012年に入って間もなく、ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルはは、父のユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレと、叔父のジャン=ベルナール・グルニエから、アンジェリュスの経営参加への打診を受けました。
こうしてピクテ銀行の職を辞して、ファミリービジネスに専念することを決意し、アンジェリュスのゼネラルディレクターに就任します。
その後、ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは一族のドメーヌに新しいダイナミックな流れを形成します。それは、ヘリテージを重んじ、テロワールを愛し、未来へと向かう流れです。
ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、新たなブドウ畑の買収や、ミレジム2012のスペシャルボトル(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA(第一特別級A)への昇格と、ドメーヌの8代目オーナー就任を祝うボトル)の発表に加え、ル・カリヨン・ダンジェリュス、ヌメロ・トロワ・アンジェリュスの新たな醸造所を作っただけでなく、販売方針を改善し、ドメーヌ全体にビオロジック農法を導入しました。
2013年には、サン=テミリオンきっての老舗レストランである「ロジ・ド・ラ・カデーヌ(Logis de la Cadène)」を買収し、2016年にはラ・メゾン・ドゥ・ラ・カデーヌ(La Maison de la Cadène)を、そして2017年にはオーベルジュ・ドゥ・ラ・コマンドリー(Auberge de la Commanderie)をオープン。ステファニー・ド・ブアール=リヴォアルは、ガストロノミーとグラン・ヴァン(大いなるワイン)の首都であるボルドーを拠点とし、レストラン「ル・ガブリエル」とともに、ファミリービジネスの発展と多角化を見出しています。
レストラン部門では、巨匠ポール・ボキューズとクリストフ・バキエのもとで修業を積んだ、若く才能あふれるフレンチシェフ、アレクサンドル・マールを中心とした新チームを作り上げました。
1956年にサン=テミリオンで生まれたユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレは、アンジェリュスのぶどう作りと、醸造蔵の仕事のリズムの中で育ちました。やがて、6代にわたりシャトーを守ってきた祖先たちの足跡をたどろうと志を立てるまでに、そう時間はかかりませんでした。
ボルドー大学の醸造学部でエミール・ペイノー教授の素晴らしい指導を受けたユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレは、卒業後、他の土地でのぶどう畑や技術を学ぶためサン=テミリオンを離れ、そのときの体験からたくさんの着想を得ました。1980年にシャトーへ戻ると、ぶどう畑や醸造蔵におけるあらゆる作業に参加しながら知識を確固たるものとし、1985年からはアンジェリュスの経営トップとなりました。ブルゴーニュを中心とした過去の経験を生かし、熟考を重ねた末に、これまでサン=テミリオンでは知られていなかったぶどう栽培方法やワイン醸造技術を導入したのです。
同年、コート・ド・フランのシャトー・ド・フランを購入します。
先駆的なワイン製造者であったユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレが、その信念を貫徹させるべく公人となったのも至って自然な流れでした。ユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレは、アペラシオンとボルドーワインのさらなる飛躍のため、次のような活動に積極的に参加しています。
- 1991年~1999年:サン=テミリオンワイン生産者組合(Syndicat Viticole de Saint-Emilion)副会長
- 1990年~1996年:ユニオン・デ・グラン・クリュ(Union des Grands Crus)副会長、グラン・クリュ・クラッセ協会(Association des Grands Crus Classés)会長
- 1999年~2008年:サン=テミリオンワイン生産者組合(Syndicat Viticole de Saint-Emilion)会長、INAO(国立原産地・品質研究所)地方委員会会長、INAO全国委員会会員
- 2011年より、サン=テミリオン市参議会の代表吏員
- 2013年-2016年および2019年-2022年、ボルド ー・ワイン最高評議会(Grand Conseil du Vin de Bordeaux)のグラン・メートル(会長)
ユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレは長きにわたり、新技術を導入したり、アンジェリュスを広く世に知らしめるための活動を精力的に行ってきました。やがて、1996年のシャトー・アンジェリュスのプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(第一特別級)格付け、そして2012年には最高峰となるプルミエ・グラン・クリュ・クラッセA(第一特別級A)に昇格したことで、彼の努力は実を結びます。
ぶどう栽培者としての情熱に導かれたユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレは、他のテロワールの開拓も行っており、その活動の一環として、レバノンのマサヤでワインコンサルタント(1997年~2003年)にも就任しています。1998年にはラランド・ド・ポムロールのラ・フルール・ド・ブアールを購入、その後は南アフリカのアンウィルカも購入しています。今日、ユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレはワインコンサルタントとして、フランス国内(サン=テミリオン、ポムロール、メドックなど)だけでなく、海外(スペイン、ポルトガル、タイ、レバノン、南アフリカ)でも精力的な活動を行っています。
ユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレには、フランス共和国より、国家功労勲章シュヴァリエ、およびレジョン・ドヌール勲章シュヴァリエが授与されています。